留学生受入れ政策の課題

スポンサーリンク
留学生関連情報

2021年、日本政府が目標に掲げていた留学生30万人計画が達成されました。1990年代は5万人程度だった留学生数は30年間で6倍にもなりました。

留学生が増えると同時に、留学生を紹介する送り出し機関も年々増えていき、ある種の日本留学ブームの火付け役となりました。

しかし、留学生が増え続けた結果、日本の社会問題、社会構造上の脆さも浮き彫りになり、留学生が増える事による課題が顕著に現れてきました

今回は現在の留学生受入れ政策の課題について紹介します。

留学生受け入れのメリット

日本政府は新たに留学生40万人計画を発表しました。留学生が増えることで、日本語学校や日本社会全体がが得られるメリットは多くあります。

日本語学校業界への新規参入が増える

留学生が増えると、同時に留学生が新聞やテレビといったメディア媒体に取り上げられる事も増えていきます。そうなると、日本語学校事業への参画を考える企業も出てきます。

新規参入が増えれば競争が生まれる

これはどの事業にも言えることですが、ある企業が市場を独占し続けてしまうと競争力が下がり、イノベーションが起こらなくなります。

日本語学校も同様に新規参入が増えれば競争は激化します。他校との競争が増えれば、既存の日本語学校も留学生を安定的に確保する為の新しい政策を考えることでしょう。

日本語学校がより良いサービスを提供し、より良い留学生を安定的に確保する為の政策は、将来の留学候補者達を増やすキッカケにも繋がります。

新たなマーケットの発掘

現在、幾つかの日本語学校が面白いコースを設置しています。具体的には以下の様なコースです。

  • 特定技能就職コース
  • 介護福祉士を目指す為の日本語コース

特定技能とは、日本国内で特に慢性的な人材不足に陥っている産業(介護、ホテル、農業等)に就職を希望する外国人向けの就労ビザを指します。

上記2つのコースは、現在の日本社会が抱えている社会問題の一つであり、介護を含めた特定技能指定産業は、慢性的な人手不足に悩まされています。

この社会問題を新たなマーケットチャンスと捉えた日本語学校が、上記の様なコースを新設したり、新たに日本語学校を開校しています。

これも留学生が増えた事で、新たなマーケットが生まれ、新たなビジネスチャンスが生まれた事で得られた結果です。

学校定員の増員と増益

留学生が増え続ければ、既設の定員数を増やして、さらに学生を獲得出来れば増益に繋がります。

日本語学校に限らず、教育業界の収入は生徒からの学納金しかありません。職員の人件費や設備修繕費等は、年々増え続けますので、増員増益又は新規校の開設を目指す経営者は多くいます。 

コロナ禍前の2021年当時、定員増をした日本語学校の多くが増益を達成しました。これも留学生40万人計画により得られた恩恵です。

日本のファンを増やし、母国と日本の架け橋人財の輩出

日本に来る留学生は日本のアニメや漫画、ゲームが好きだったり、自動車やに関心があったりと既に日本のファンである方が多くいます。

そんな彼らが日本語学校等で日本語を学び専門学校や大学へ進学したり、日本で日々の生活を送る中で、日本という国への理解も深まります。

また、日本人の習慣、価値観、日本社会への理解が深まった留学生達は、日本で就職したり、母校に帰国して会社を起業する方もいます。

そんな彼らは日本という国の良き理解者であり、将来彼らの中から有名企業のCEOや大統領が誕生するかもしれません。その時彼らはきっと日本と母国の架け橋となってくれるでしょう。

そんな将来の架け橋人財になり得る留学生が増える事で、日本という国が長くグローバル社会で生き残る事にも重要な役割を果たしているのです。

留学生受け入れの課題

どんな計画にも光が有れば影(課題や問題)があります。この影の部分は日本社会全体に関わる問題であり、改善や対策をして行かなければなりません。

質の悪い留学生が問題を起こす

留学生の中には質の悪い留学生や最初から就労目的の留学生も一定数います。

特定技能ビザが新設されて以降、最初から就労目的だけの留学生の割合は減少しましたが、仕事ばかりしてしまう留学生は今も一定数います。

そんな質の悪い留学生がオーバーワーク(就労時間制限超過)やオーバーステイ、犯罪に手を染めたりと問題を起こしてしまっており、日本国の治安悪化に繋がっているも現実です。

労働力不足を留学生アルバイトで賄わざるを得ない

介護、物流、小売、ホテル、農業等慢性的な人手不足に悩まされている業界が多くあります。この人手不足解消の一翼を担っているのが留学生アルバイトです。

最近最寄りのファストフード店やコンビニに入るとどうでしょうか。当たり前の様に外国人が働いており、彼らの多くは留学生アルバイトか就労外国人(正社員)です。

しかし、元々は日本人が働いていた場所です。そもそも何故人手不足になるかの根本的な課題が解決されないまま、留学生をはじめとした外国人の労働力で穴埋めをしているのが現状です。

このままでは、いつの日か単純労働は外国人、一定技術が必要な労働は日本人という構造が出来上がってしまいます。また、これでは日本人は怠けてしまい、いつの日か優秀な外国人に職を奪われてしまうでしょう。

多文化共生社会への理解が追いついていない

留学生40万人計画により、留学生が年々増えている中、文化や価値観、習慣の違いから各地域で軋轢が生じています。

例えば、日本のゴミの捨てルールが中々定着しない留学生や外国人もいます。このゴミ捨てルール問題が地域住民との間でトラブルになっています。

他にも夜間に大きな音で音楽を流したり騒いだりしてしまい、近隣住民の安眠を妨げてしまう事も多々発生しています。

これらの小さなトラブルは、やがて大きな軋轢となり、地域住民と留学生•外国人との間の溝がさらに深くなっていきます。

本来であれば、日本語学校や所属機関が留学生や外国人に対して、日々の生活ルールの徹底を指導しなければなりません。また、率先して地域住民との交流機会を設けなければなりません。

しかし、残念ながら年々増え続ける留学生に対して、日本語学校も所属機関も対応が追いついておらず、地域の方々に委ねてしまっています。地域の負担は増える一方となり、多文化社会への理解促進を妨げてしまっています。

各種課題を解決し、影を光へ変える

留学生40万人計画の影の部分は、解決すべき課題です。無論、課題の解決は容易ではありません。

しかし、この影(課題)解決し光に変える事が出来れば、留学生40万人計画が日本国に還元出来る事は大きいのです。

日本のファンが増える事を嫌う日本人は殆どいません。日本の規則やルールを守り、日本で頑張っている留学生や外国人に対しては、社会全体がウェルカムなはずです。

日本語学校の職員としても、留学生40万人計画で来日した留学生が将来、母国と日本の架け橋になってくれる事を願っています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました