みなさん、こんにちは。
日本語学校にお勤めの方なら、「エージェント」という言葉を耳にした事があると思います。ここで言うエージェントとは、日本語学校に留学生を紹介する企業又は外国にある日本語教育機関を指します。
実はみなさんの日本語学校に通っている大半の留学生がこのエージェントを介して日本に来ています。詳細については別記事でご紹介していますので、こちらをご覧ください。

今回は、エージェントに支払う紹介手数料について、日本語学校とエージェントとの関係を踏まえつつ、手数料相場や収益との関係についてもご紹介します。
本記事をお読み頂ければ、以下の事について理解を深める事が出来ます。
- エージェントに支払う紹介手数料相場
- 紹介手数料の妥当性
- 収益及び利益率と紹介手数料の関係性
- 財政面において、認定日本語教育機関認定に求められる事への妥当性
エージェントに支払う紹介手数料相場に関して

残念ながら大半の日本語学校は、エージェント無しで留学生を獲得する事ができていません。特に募集定員の多い日本語学校が独力で募集定員を埋める事は不可能に近いと断言できます。
その為、各国の留学生送り出しエージェントと提携をし、募集定員枠を埋めていくのですが、当然ながら紹介された留学生が入学した後、学生紹介手数料の支払いが発生します。
具体的な相場はどのくらい?
私は10年以上日本語学校で勤めておりますが、私自身の経験に加え、知人や友人の意見を考慮すると、主な国別の紹介手数料相場は以下の通りとなります。
中国 20-35万/1名入学につき
欧米圏 20-25万/1名入学につき
台湾 16-20万/1名入学につき
韓国 16-20万/1名入学につき
ベトナム 12-20万/1名入学につき
ネパール 10-12万/1名入学につき
スリランカ 10-14万/1名入学につき
ミャンマー 10-14万/1名入学につき
バングラデシュ 10-12万/1名入学につき
インド 10-14万/1名入学につき
インドネシア 10-14万/1名入学につき
ウズベキスタン 10-12万/1名入学につき
上記はあくまでも相場です。日本語学校によって契約や紹介手数料の決定方法は異なりますので、予めご承知おきください。
但し、この相場よりもあからさまに高い紹介手数料を支払っている場合は注意が必要です。後述しますが、その紹介手数料の妥当性並びに学校の収益にも関わってくることですので、留意しておきましょう。
何故、東アジアと欧米圏の相場が高いの?
中国は1名入学につき、最大35万円??こんなに高い金額を払ってる?と思われるかもしれませんが、事実です。欧米圏、台湾、韓国、ベトナムも同様に高い紹介手数料を払っている学校が多いのが現状です。
では何故か?以下に国籍別の理由を記載しています。
- 中国···入管の書類簡素化対象国であり、ビザの許可率が非常に高い。さらに進学希望者が多く、優秀な学生は有名私大(早慶上理やGMARCH等)、国公立大に合格等の進学実績を残してくれる。
- 欧米圏•••そもそも留学希望者の絶対数が少なく、各日本語学校が取り合いの状況にある。日本語学校的には、欧米圏の留学生在籍はある種のステータスにもなる。
- 台湾•韓国•••欧米圏同様に留学希望者の割合は年々減っており、各日本語学校が取り合いの状況にある。両国共に有名私大や国公立大への進学実績を残してくれる。
- ベトナム•••留学生の絶対数は多いが、日本語学校間の取り合い状況にある。更にエージェント側の強気な紹介手数料提示に日本語学校側が応じている実情があり、相場が上昇中。
日本語学校側のマーケティングの弱さをお金で補っている

結果的に日本語学校が獲得の難しい国籍のエージェントに対して、お金を積んでいる構造がある為、相場が高くなってしまっています。
これを良しとするか、悪しとするかは日本語学校の方針次第です。しかし、根本的に日本語学校側のマーケティングが弱いという問題はずっと放置されています。
今後、認定日本語教育機関認定を受けなければならない日本語学校において、マーケティングの強化は必要不可欠です。
紹介手数料の妥当性に関して

紹介手数料については、一部悪質なお金大好きエージェントが割高な金額を提示してくる事が多々あります。
日本語学校の学生募集に携わっていないと、金額の妥当性は分からないと思います。以下に妥当性を測る目安を記載していますので、参考にしてみてください。
- 自分の学校の募集要件を満たしている留学生を紹介しているか。
- 日本語が全くできない(平仮名、カタカナできない)留学生を紹介していないか。そもそもN5レベルが無ければ、日本には留学できない。
- こちらの事情を無視して、押し売りの如く留学希望者リストを送りつけてきていないか。
- 紹介手数料を上げろと執拗に迫ってこないか。
- ビザが不許可となったことを日本語学校側のせいにして、責任を押し付けてこないか。
- 日本は稼げる、アルバイトして母国に送金しながら、たくさん働ける国だと吹聴していないか。
- 自分が紹介した来日予定者に対して、全くサポートをしていないエージェントではないか。酷いエージェントは紹介して終わり•••
- 学生から法外なお金やあからさまに高い金額を徴収していないか。
- 担当者又は社長が高圧的でないか。
もし、2つ以上当てはまるエージェントがいる場合、契約を見直す事を強くお勧めします。私の経験上の話にはなりますが、2つ以上当てはまる様なエージェントとの関係は長続きしません。
近い将来どこかで揉め事に発展したり、日々の業務の足枷となります。学生募集の弱い日本語学校は、エージェント側の立場が強くなる傾向にあります。
しかし、大切なのはB to Bであり、互いの信頼関係です。長い目で見て、長くお付き合い出来るエージェントと関係を築いていきましょう。
学校収益の視点から紹介手数料を考えよう
別記事でも紹介しますが、日本語学校の収益源は学生が納付する額納金です。

従って1名あたりの額納金売上に対して、紹介手数料が妥当なのかを判断しなければなりません。
例①: A日本語学校
学費:90万円 紹介手数料35万/1名
売上(粗利) 55万円
例②:B日本語学校
学費:90万 紹介手数料 10万/1名
売上(粗利) 80万円
粗利計算ですので人件費や雑費等を計算しなければなりませんが、単純にA日本語学校とB日本語学校を比べてみるとどうでしょうか?
紹介手数料が高ければ高い程、収益が下がる事が分かります。ここに紹介手数料の妥当性が問われるのです。その金額は学校の方針、収益の観点から本当に妥当なのか、きちんと精査しましょう。
認定日本語教育機関認定と紹介手数料

政府の政策決定により、令和10年4月以降も留学生を募集、在籍させたい日本語学校は、文部科学省から、認定日本語教育機関に認定されなければならなくなりました。
認定を受けるには様々な事をクリアしなければならないのですが、本記事で取り上げている紹介手数料の妥当性が問われます。
以下、文科省資料からの引用です。
設置者が、生徒の募集や入学手続きの支援等のために第三者に仲介料等の費用を支払っている場合、安定かつ継続して質の高い日本語教育課程を実施する観点から、生徒一人当たりについて支払う当該費用の額が、日本語教育機関が生徒から徴収する授業料等の額と比較して、相当程度高額でないこと。
以上の事からも、紹介手数料金額については、その妥当性を吟味しなければなりません。
もし、妥当性に欠ける場合には、文部科学省の認定不許可に限らず、そもそもの収益構造を正さなければ近い将来経営難に陥ってしまうので、抜本的な見直しを行いましょう。
