
COEという言葉、日本語学校に常勤職員として働いている方は、必ず耳にした事があると思います。
COE=在留資格認定証明書を指し、英語のCertificate Of Eligibilityの略称です。在留資格認定証明書(以下COE)を簡単に言うと、入国管理局が発行する留学生の在留許可証明書です。
入学希望者の在留許可を得る為に、日本語学校が所属する地域の入国管理局に、在留許可審査に必要な書類を提出します。
COE(在留許可)が発行されなければ、入学希望者は日本に入国する事が出来ません。入国出来なければ、当然入学出来ません。希望者が入学出来なければ、定員充足、収益の観点から大きな損失を被ります。
その為、日本語学校にとって、このCOE申請業務は最も重要な業務となります。収益が左右される業務につき、プレッシャーもかなりかかります。
本記事では、私自身の経験から、初めてCOE申請書類チェック業務を担う方、今後業務を担う可能性のある方に向けて、COE申請書類チェックの特に押さえておきたいポイントを解説します。
最初に抑えるべきポイント
初めてのCOE申請業務では、誰もが分からない事だらけです。それ故に何をすべきなか分からなくなってしまい、途方に暮れてしまう事もあります。
しかし、以下に記載のポイントを押さえておく事で、初めての方でもかなり効率的に進める事が出来ます。また、書類チェックのコツにも繋がりますので、是非押さえておきましょう。
Point1: 間違い探し
Point2: 自分が入管審査員だったら
Point3:願書に記載されている情報
極論は書類の間違い探し
COE申請業務は間違い探しが基本です。残念ながら、日本とは違い、海外発行の書類には間違いがたくさんあります。
名前のスペルミス、生年月日ミス、書類によって記載情報が不一致であったりと色々なミスがあります。
例1:正しい氏名はTakuro Nihongo
- 氏名: Takuro Nihongo ◯
- 氏名: Takaro Nihongo ✖️
例2: 正しい住所の末尾は、Tokyo Japan
- 住所: Tokyo Japan ◯
- 住所: Takou Japan✖️
上記のミスに関して、そんなの簡単に気付けるよ?と思うかもしれません。しかし、国籍や学校の評価(入管からの評価)にも寄りますが、提出書類は多い国で30枚-100枚に及びます。
このたくさんの書類の中から間違い探しをするのですが、最初は慣れるまでにかなり時間がかかりますし、多くのミスを見逃してしまいます。
提出期限もありますので、書類チェックの進捗が進まないと時間はどんどん無くなります。そうなると、気持ち的に焦ってしまい、パニック状態になってしまいます。
しかし、極論は書類の間違い探しです。頭が混乱してパニック状態になったら、一呼吸ついて、焦らず間違い探しをしようと自分を落ち着かせましょう。
自分が入管の書類審査員だったら?の気持ちでチェックしよう
書類チェックを進めていくと以下の様な疑問や疑念が出てきます。
「これって、これで良いの?間違ってるんじゃないの??」
この疑問と疑念の気持ちはとても大切です。何故なら入管の書類審査員の方々も同じ疑問と疑念を抱く可能性があるからです。
書類審査員は疑問や疑念が有れば、COEは不許可とします。何故なら、入管は法務省管轄の組織であり、法務省は日本国の治安を司る政府機関です。
もし、疑問や疑念を抱いた書類が偽造された書類だったらどうしますか?偽造した書類を提出する様な人物が犯罪組織の一員だったら日本国の治安悪化、テロ組織の侵入を許してしまうかもしれません。
ですので、書類の記載内容に疑問や疑念を抱く事は大切です。もし、記載項目や疑問や疑念を感じたら、上席又は経験者に確認してみましょう。
上席でも分からない疑問や疑念は、送り出し機関又は申請者本人に直接確認しましょう。疑問や疑念の多くは、単純な記入間違いか、申請者の母校ならではの事情が関係している事が多いです。
もし、自分が入管の書類審査員だったら?の気持ちで書類チェックをする事で様々な事に気付ける様になりますので、是非実践してみてください。
応募願書の情報と他の書類の情報を見比べる
どんな日本語学校にも入学希望者に対して、必ず提出させる物があります。それは学校指定の応募願書です。応募願書は、一部の学校を除き、原則入管に提出します。
応募願書には、主に以下の様な入学希望者の情報を記入します。
- 入学希望者の氏名、性別、生年月日、現住所、電話番号等
- 入学希望者の学歴
- 入学希望者の職歴
- 入学希望者の家族構成
- 入学希望者の日本語学習状況
- 過去のCOE申請歴
- 留学費用を支弁する方の年収
- 留学費用を支弁する方の職業
- 留学費用を支弁する方の氏名、性別、生年月日、現住所、電話番号等
願書の情報に対して、願書以外の入管に提出する書類に記載されている情報が正しいかを見比べる作業が非常に大切になります。
例:年収を証明する資料
願書記載の年収:250万円
年収証明書記載の年収:265万円
どうでしょうか?願書には250万円と書いてあるのに、入管から提出必須とされている年収証明書(留学費用支弁者)に記載されている年収は265万円となっています。
これではどちらが正しいのか判断出来ませんので、年収証明書に疑問有りとされ、COEは不許可となります。
その為、COE書類チェックの基本は、
願書記載の情報が、他の提出書類の情報と合っているかの間違い探し
となります。
但し、願書の情報が間違っている事も多々有ります。どちらが正しい情報なのか判断出来ない場合は、上席か送り出し機関又は申請者本人に確認をしましょう。
願書が間違っている場合は、送り出し機関又は申請者本人に、願書の修正を依頼し、正しい情報を記載してもらいましょう。
入管への提出日を意識する
入学希望者の提出書類は、入管が指定する提出日に提出しなければなりません。その為、書類チェックをしつつ提出日も同時に意識しなければなりません。
海外から発送された書類の到着日を押さえる
日本国内と違い、海外から書類を発送すると到着までに約1週間から10日程度を要します(入学希望者の居住地によっては2週間)。
海外の速達便で有名なのサービスが幾つかあります。
- DHL
- EMS(日本郵政)
- OCS(佐川急便)
- FedEx
何れのサービスを利用したとしても、到着日は約1週間から10日かかると考えましょう。DHLは国によっては3-4日で届く事もありますが、あくまで絶対ではありません。
送り出し機関から、3日で届くから大丈夫です!と言われる事もあるかもしれませんが、それをあてにしてないでください。
必ず学校独自で書類到着日を設けて、送り出し機関又は申請者本人に伝達しましょう。そして到着日を遵守させる事を徹底しましょう。
提出書類はコピーでは出せない
入管に提出する書類は、一部を除き原本を提出しなければなりません。コピーで提出可能な書類は、再発行できない書類(高校や大学の卒業証明書、通帳等)に限ります。
その為、各提出書類の原本を学校に発送して貰う必要があります。最終チェック作業時間を加味すると、提出日の1週間前までに、原本書類が到着していれば理想です。
海外と日本の時間概念に注意
全ての送り出し機関や入学予定者に当てはまる訳ではありませんが、期限を遵守出来ない企業や入学予定者が多いです。
ですので、全てのスケジュールを本来の日程よりも2週間程度早めに設定しておく事をおすすめします。
初めて担当すると、送り出し機関が時間にルーズ過ぎてイライラしてしまう事もあると思います。イライラし始めると進捗管理や書類チェック作業に悪影響を及ぼします。
ですので、初めから時間に余裕を持った締切日を設けましょう。時間さえあれば、修正依頼や急な変更にも落ち着いて対応する事ができます。
最後に
本記事は全て私自身の経験を下に書き上げました。初めてCOE申請業務を担当した時、知識も無くやり方も分からず、本当に辛い思いをしました。
これからCOE申請業務を担当する方にとって。本記事が少しでも効率良く進められる手助けになれば幸いです。
私自身、自分が今までに得た知識を出し惜しみする事はしません。全てこれからの日本語業界の発展に還元出来ればと考えております。
本記事を読まれた方でご質問等がありましたら、お気軽にコメントか問い合わせフォームよりご連絡ください。
コメント