皆さん、こんにちは。
日本語学校に勤めていると、「COEの再申請」という言葉を聞く事が多々出てきます。
何故かと言うと、日本語学校に入学を希望した方々全員にCOE(在留資格認定申請)は許可されません。その為、COE不許可とされた方も多くいます。
不許可となった方々が日本に留学するには、再度COEを申請しなければなりません。この事を総じてCOEの再申請と言います。
そこで今回はCOE再申請を受ける前に、日本語学校職員が知っておくべきこと3選をご紹介していきます。
前回申請が不許可となった理由がある
当然ですが、入国管理局がCOEを不許可としたのには、必ず理由があります。主な理由には以下の様なものがあります。
- 提出した銀行書類の内容に疑義がある
- 提出した収入関係書類の内容に疑義、不備がある
- 経費支弁者に留学費用を持続的にサポートする力が不足している
- 日本語学習証明書に疑義が有る
- 過去に不許可となった理由を払拭出来ていない
先ず再申請を受ける前に、前回(前々回)不許可となった理由を明確に把握しなければなりません。何故なら不許可理由を払拭出来なければ、COEが出る事はないからです。
ですので、不許可理由は必ず把握しましょう。逆に言えば不許可理由が全く分からない様な再申請は、受けない事を強くお勧めします。
不許可になった理由を払拭できるか
不許可とされた理由を払拭するには、疑義がかけられている理由が間違いでない、又は疑義が発生した理由を正確に証明しなければなりません。
例えば、銀行書類の中でも、残高証明書に疑義有りとされた場合、必ず提出した残高証明書の中に不許可理由があります。
- 残高証明書に書かれている氏名のスペルにミスがあった
- 残高証明書に書かれている残高金額の英文が間違っていた(例: 3,500,000→Three Million Five Thousand)
- 同じ銀行発行の残高証明書にもかかわらず、証明書の書式が全然違う
- 残高証明書に記載されている支店名が銀行のHP上には記載されていない
入国管理局は、不許可とした理由を詳しくは教えてくれません。その為、上記の様な理由(エラー)を把握し、その理由を払拭する証明書類を用意出来なければならないのです。
その為、不許可理由を払拭出来る証明書類の準備が出来ないのであれば、再申請した所で不許可になりますので、再申請は受付しない様にしましょう。
そもそも提出した書類自体が本物なのか
残念ながら、日本留学を実現する為に偽造書類を提出する方々が一定数います。当然ですが、不許可理由にされた書類が、そもそも偽造書類なのであれば再申請しても許可されません。
さらに偽造書類の提出は、入国管理局に対して、偽りの情報を提供した事になります。言い方を変えれば、日本語学校から偽造書類を出してしまったとも言え、信用問題にも繋がります。
偽造書類を見抜く方法
偽造書類を事前に見抜く方法はあります。自分の学校で申請して不許可になってしまった方に限りますが、再申請受付前に試してみてください。
- 不許可理由とされた書類の発行元に問い合わせる
- 発行元に問い合わせが繋がったら、証明書の発行日、発行責任者が居るか、その書類を本当に発行したかどうかを確認する。
- 許可された方々の同じ発行元が発行した書類と見比べてみる
偽造が発覚したら再申請不可、エージェントとの契約解消を
偽造が発覚したら、当然再申請受付は不可とします。さらに、偽造書類を提出した入学希望者の送り出し機関(エージェント)に事実関係を確認しましょう。
中にはエージェントではなく、入学希望者本人が偽造屋に書類発行を依頼し提出しているケースもあります。もし、エージェントが偽造書類を作成していた場合は、そのエージェントとの契約を解消しましょう。
本当に日本留学に来たいの?(意思と意欲の再確認)
一度COEが不許可になってしまうと、日本留学を諦めてしまう希望者もたくさんいます。
その中でも再申請を希望してくる方々に対して、不許可払拭資料の有無以外にも日本語学校側で確認するべき事があります。それが以下の二点です。再申請受付前に確認しましょう。
- 日本語学習続けているか(前回の時よりも上達しているか)。
- 本気で日本に留学したいのか(意欲の再確認)
「ただ単に日本に行きたいから」、「日本に行けばアルバイトで稼げるから」そんな理由で日本留学をしたい方も多くいます。
この様な不純な目的がある方に限って、前回申請時から日本語が全く上達していません。また、留学目的も信憑性に欠け、意志も意欲も低い事が多くあります。
本気で日本語を学び、本当に日本で成功したいという想いのある方の意志は強いものです。再申請時受付時に今一度面談を行い、改めて意志と意欲を確認してみましょう。
最後に
今回は、COE再申請を受ける前に知っておくべきことについてご紹介しました。実際に日本留学の夢が叶わなかった方々はたくさんいます。
これは私の実体験なのですが、JLPT N3を現地で取得して日本留学を目指した方のビザが不許可となってしまった事がありました。
一度再申請をしましたが、再度不許可とされてしまい、結果の伝達後にその入学希望者の仲介者(留学エージェント)を通じて面談を行なった時、その方は泣いていました。
「何でこんなに日本が好きで、毎日日本語を勉強してJLPT N3まで取得したのに、日本に行けないの?何故金稼ぎ目的の人達のビザが許可されるの?」
この面談を通じて、改めて入学希望者のビザ申請という業務の重積を再確認出来ました。そして、COEが不許可とされてしまった意欲ある希望者達が大勢いる事を再認識しました。
少しでも多く、確実に意欲ある希望者の再申請のが許可されるには、事前の準備が不可欠です。今回ご紹介した事が皆様のCOE再申請業務のお役に立てれば幸いです。