留学生募集担当必見!インドの学生を募集する前に知っておくべきマーケット事情

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日本語学校

最近、日本語学校に少しずつインド人の留学生が増えてきました。ネパールやスリランカ、ミャンマーに比べれば少数ですが、留学生数ランキングでもトップ10に入っています。

現在、日印関係が良好な事に加え、自動車のSuzukiがインドへ進出して以降、多くの日本企業が進出し、日印間のビジネス交流はさらに深化しています。

また、ネパールやスリランカ程ではありませんが、インド現地には日本語学校や日本語学習塾も多くあり、日本語学習者も毎年増えています。

今回は、日本語学校から見た今後のインド市場について見ていきます。私自身も毎年インドに出張しており、現地の日本語学校関係者からヒアリングして分かった事を踏まえ、今後のインド市場を解説していきます。

人口14億人の市場

まずはインド市場の概要を見ていきましょう。インドは中国を抜き、遂に世界一の人口となりました。14億を超える人口は留まる事なく、毎年増え続けています。

そして、日本とは異なり、多くの若者で溢れている活気ある市場です。若者が増え続ける事で労働者人口も増え続け、国の目覚ましい発展に大きく貢献しています。

経済成長と所得増

インドは、毎年7%前後の安定した経済成長率を維持しています。経済成長と共に物価も上昇していますが、賃金も上昇しています。

インドの平均昇給率は8%を超え、個人の所得も確実に増えています。平均年収は70-100万の間とされており、特に御家芸のITにおいては、100-140万程度とさらに高水準です。

そんなに平均年収高くないじゃん!と思うかもしれませんが、分母が14億人です。平均すると低く見えますが、実際はお金持ちがかなりいます。

年収が増えれば、自分の子どもには良い教育をと考える家庭が多い事もあり、親が子どもを海外へ留学させる機会も増えています。

インド人と英語

かつて、インドがイギリスの植民地であった事もあり、英語が日常的に使われ、公用語に英語が含まれています。

実際にインドへ出張に赴くと、英語で商談は当たり前の様に行われ、インド人同士のビジネスシーンでも英語が頻繁に使用されています。

また、インドは多民族国家なので、民族が違うと言語も違います。同じインド人同士なのに言葉が通じない?なんて事もインドでは当たり前であり、それを補う為に英語が頻繁に使われています。

英語が当たり前に通じるというメリットが、多くの欧米企業の拠点誘致に成功し、多くの雇用を創出しています。MicrosoftやHP、Dell等名だたるIT企業が拠点を構えており、如何にインドが魅力的な市場であるかを物語っています。

インド国内産業と留学の関係性

インドには自国を牽引する世界に誇る産業があります。主にITと製薬業です。世界に誇る魅力的な仕事があるインドでは、国内の一流企業や外資系企業への就職を求め、若者は日々厳しい競争社会を生きています。

一流企業や外資系企業に就職し成功するには、当然英語が必要になります。その為、インド人にとっての海外留学の第一候補地は英語圏(アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア)となるのです。

インド人留学生がネパールやベトナムの様に急速に増えない理由の1つが、この国内に魅力的な産業が有る事と言えます。

日本に来ている留学生の国籍

今、日本に来ている留学生は中国、ベトナム、ネパール、スリランカ、ミャンマー、バングラデシュが多いです。

中国を除くこれらの国々に共通している事は、自国を牽引する程の産業が少ないという事です。グローバリズムの現在において、自国に良い仕事が無ければ、海外に仕事を求めるのは普通の感覚です。

これにより、将来日本で働く又は日本で経験を積むという目的で、日本留学を目指しているのです。だからこそ、留学生が増え続けているのです。

出張で分かったインド人が真に求めるもの

留学生募集の為、何度もインドを訪れて様々な方々とお会いしてきました。その経験から、インド人が日本留学に対して、何を求めているのかを以下に解説します。

本当に投資する価値があるか

出張に行く度に何度も自分の日本語学校や日本の魅力をお伝えしてきたのですが、必ず言われる事があります。

  • 日本留学に投資(時間とコスト)して、得られる物は何か?英語圏への留学よりもメリットがあるのか?

何故インドで数字が発明され、インド人が数学が得意なのかを思い知らされます。

全ての人には当てはまる訳ではありませんが、多くのインド人が結果から考える傾向にあります。逆に投資する価値が有ると判断してからの行動は非常に早いです。

今のところ、中上流階級以上が日本を目指す可能性は低い

中上流階級以上の家庭は、自分の子ども達の教育に捻出出来るお金があります。より良い環境で、将来良い仕事に就いて豊かな人生を送る為に投資する事を惜しみません。

そして、彼らは世界を見ています。世界のマーケットにおいて、現在の日本の立ち位置はどうでしょうか?自動車産業を除く日本の国際競争力はバブル以降下がる一方です。

だからこそ、日本が選ばれる可能性が低いのです。今の日本企業の年収、待遇は円安も相まって下がる一方です。この状況では、日本に子どもを留学させたいと思う中上流家庭は少ないのが現状です。

逆に将来日本が国際競争力を取り戻し、世界で勝てる日本企業を増えてくれば、中上流階級からの留学生も増えて来る可能性は多いにあります。

中下流は日本留学に関心あり

インド国内の競争も熾烈です。若者は良い仕事に就く為、必死に勉強しています。しかし、14億を超える人口に対し、全員に仕事がある訳ではありません。

金銭的な理由やカーストの名残により、競争に負けてしまう人、そもそも競争に入れない人もたくさんいるのが現状です。そんな中でも自分の現状を変えたいと思っている人もたくさんいます。

この状況は、所得中下流層の人々に該当者が多く、ここに日本留学のマーケット需要が有ると言えます。但し、所得的に日本留学費用が捻出出来るかがポイントです。

中下流層が求めるものは最短ルート

この所得層は、最短ルートでの成功を求める傾向が強くあります。

日本で成功するのに日本語は必須ですが、学費に投資出来る資金は限られている為、日本語学校卒業後、すぐに就職したいと希望する方が多くいます。

実際に日本語学校卒業後、すぐに就職出来る程、現実は甘くないです。しかし、この需要を解決すれば、多くの留学生を獲得する事が出来るとも言えます。

インド側のニーズと日本語学校の設置コース

1番日本留学への関心が高い中下流層のニーズに対して、日本語学校で対応出来るコースは、就職コース(特定技能コース含む)であると言えます。

就職コースを設置している日本語学校は多くありませんが、徐々に増えてきてはいます。ただ、日本語学校卒業後にすぐ就職出来る程、現実は甘くありません。

また、就職コースを設置するにも様々準備が必要となりますので、学校の負担が大きいのも現実です。

インド側のニーズを満たせば、留学生が増える

最後になりますが、インドからの留学生を増やしたいのなら、インド側のニーズを満たさなければ、今後も微増程度しか望めません。

  • インドの中上流以上の家庭に対し、英語圏留学よりもメリットがある事を示せるか。
  • 中下流層に対して、日本語学校卒業後の最短ルート(卒業後)を叶えられるか。
  • それぞれの所得層に対して、実績を残せるか。

これらのニーズを満たし、実際に実績を積み上げていけば、インドからの留学生を獲得する事が出来ます。

また、インドをターゲットにするなら、学校も本気の対応をしなければ結果は出ません。中途半端な気持ちでインドを開拓する気なら、お金をイタズラに浪費するだけです。

最後に

今回はインドのマーケットについて、ご紹介しました。実際のところ、インドは格差社会です。お金持ちはあり得ない程のお金がありますが、お金の無い人は1日を生きるだけで精一杯です。

ただ、そんな状況下においても、将来成功する為、日々勉強に励む子ども達がたくさんいます。熾烈な競争下に置かれているからこそ、次々とイノベーションが起こっています。

これからインドをターゲットにされる日本語学校は、インド側のニーズを必ず満たす為の投資をする必要があります。ただ出張に行ったら学生が獲得出来るほど甘くはないです。

インドには様々な可能性があります。その可能性を実績に変えられるかは、日本語学校の本気次第です。

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