みなさん、こんにちは。
入国管理局から在留資格認定証明書が貰えた日本語学校の入学希望者は、学費の振込等の所定の手続きが完了すると、在外日本大使館でビザの査証手続きをし、日本行きのビザを取得しなければなりません。
しかし、この大使館でのビザ査証は100%許可が出るわけではありません。無論ビザが貰えなければ、たとえ入国管理局が在留許可を出していても、留学生として日本に行くことができないのです。
今回は、あまり知られていない在外日本大使館でのビザ査証について、ご紹介したいと思います。
そもそもビザ査証とは何?

留学生の留学ビザに限らず、就労や家族滞在ビザ等の長期滞在者やビザ無し免除対象外の国から日本へ入国する場合、必ず現地の日本大使館で日本入国の為のビザを取得しなければなりません。
当然ながらビザが不許可となった場合、日本に入国することはできないのです。またビザ査証不許可となった場合、最低半年間は再申請をすることができません。
また、特定の国地域から観光目的で入国したい場合、観光の為の短期滞在ビザをしますが、この観光ビザも不許可になることがあります。
査証は不法就労や不法行為が目的の入国希望者を未然に防ぐ防波堤
近年、首都圏では不法就労者や不法滞在、難民申請を繰り返している特定の外国人が話題に上がり、この問題の解決が非常に難航しています。
彼らの多くが観光目的で入国したにも関わらず、国からの迫害や悪質なブローカーの斡旋による不法就労を理由に不法滞在を続け、人道的危機を訴えて難民ビザ申請を繰り返しています(特定活動ビザ)。
全てを防げる訳ではありませんが、本来、この様なケースが発生する事を未然に防ぐために、現地日本大使館でのビザ査証があるのです。
長期滞在者向けビザ査証の仕組み
長期滞在者とは主に留学や就労(インターン含む)や家族滞在等の6ヶ月以上日本に滞在する方を指します。
まずは入国管理局からの在留許可が必要
長期滞在者が必要なのは現地日本大使館のビザ査証許可だけではありません。まずは日本の出入国在留管理局(以下、入管)から日本在留許可を貰わなければなりません(在留資格認定証明書の取得)。
入管の次に現地日本大使館でのビザ査証
入管から在留許可が貰えたら、次に現地日本大使館でのビザ査証許可を貰います。ですので、長期滞在希望者には2段階のステップ(スクリーニング)があるのです。
この2ステップによるスクリーニングで違法な目的による入国を防ぎます。また特に長期滞在希望者で入国希望の多い国は、現地日本大使館での面接•面談もあります。
ビザ査証の結果交付
ビザ査証の結果は通常大使館営業日7にち程度で交付されます。但し、入国希望者が多い時期やそもそも日本大使館が一つしか無い国に大量の希望者がいる場合は、査証審査に時間を要することがあります。
ビザ査証の結果、晴れて許可が出れば日本へ入国する権利を得ます。
査証不許可となった場合
不許可の理由は幾つかありますが、現地日本大使館が不許可理由の詳細を教える事は絶対にありません。教えてしまうと、次回再申請時に対策をされてしまうからです。
但し、不許可理由としてよく知られている項目があります。
- 日本語能力不足(日本大使館による日本語面接でN5相当の日本語無しと判断)
- 提出書類に疑義有り(書類上に信憑性や不審な記述、内容がある)
- 調査により不許可(日本大使館の調査により、実際の状況と書類の記載情報が不一致)
上記がよく知られている不許可理由の一例ですが、実際のところ何も疑義が無ければビザは許可されます。
ビザ査証不許可となった留学生の対応
次に日本語学校への入学希望者がビザ査証不許可となった場合の対応について解説します。
学費の返金作業
残念ながら不許可となってしまった留学生は、既に日本語学校に初年度納入金を納めていますので、学生にお金を返金しなければなりません。
所属校の返金規定を確認する
どの日本語学校にも必ず返金規定があります。返金規定が有るか無いか分からない場合は、早急に代表者や上席に確認しましょう。
私は10年間のキャリアで複数校経験していますが、どの学校も現地大使館査証不許可の場合の返金は以下の様な対応でした。
- 入学金、選考料を差し引いた全ての金額を返金。送金手数料は受取人負担
返金明細書を作成し、エージェント又は本人へ連絡
返金規定の内容に基づき、返金明細書を作成しましょう。返金明細書をエージェント又は本人に送付し、内容を確認してもらいます。
この作業を怠ると後々のトラブルに繋がりますので、必ず返金金額、規定の内容を伝えましょう。全ての確認が取れた後、銀行送金の準備に入ります。
再申請の申し入れがあった場合
まず原則として日本大使館のビザ査証不許可になると半年間は再申請ができません。さらに、入管から交付された在留資格認定証明書の有効期間は3カ月しかありません。
従って、まずは入管の在留資格認定証明書の再申請が必要になります。日本語学校の場合、原則入管指定の一括申請受付日にしか申請ができません。
ですので、再申請は次の入学時期又はそれ以降の募集定員に空きのある入学時期でしか受付が出来ませんので、注意が必要です。その為、安易に再申請を受付しないよう気をつけましょう。
入管の在留資格認定証明書再申請時の留意点
上記の事を確認した上で再申請を受付した場合、書類準備過程で留意しなければならないことがあります。
査証不許可についての説明書を作成

それは、再申請理由書の内容です。通常、入管の再申請は、前回不許可理由払拭が必要となりますが、大使館ビザ査証不許可の場合、不交付理由払拭説明書は不要です。
但し、この査証不許可説明書の提出を失念してしまわないようにしましょう。これが無いと再申請で入管からも不許可とされる可能性がありますので注意してください。
前回申請時の内容と相違がないように気をつける
当然ですが、前回申請時に提出した書類の内容が異なっていてはいけません。また、再申請にあたり、再発行可能な書類は再発行をして、最新の状態で提出しましょう。
再発行可能な書類の有効期限は3カ月とされています。提出日が6/15なら3/15に発行はれた書類は有効です。1日でも過ぎたら無効書類とみなされますので注意しましょう。
まとめ
如何でしたか。現地日本大使館ビザ査証の仕組み、不許可時の日本語学校が取る対応について、ご理解頂けたと思います。
特に留学生の場合、大使館で日本語面接試験のある国も多く、特にバングラデシュの日本大使館はかなり厳格に日本語力を審査されているようです。
留学ビザ申請の最低日本語要件が日本語能力試験N5相当ですので、この様に大使館が厳しく審査される事は非常に意味があります。
何故なら、日本語能力が低い、日本語学習意欲の低い留学生を大使館面接不許可にすることで、本当に日本語を勉強したい留学生が入学出来るからです。
日本語学校としては、査証不許可による入学キャンセルは痛いのですが、意味のある査証不許可である事を認識した上で、日本語力が高く質の高い留学希望者の募集に繋げていく事が大切です。
なお、学生募集に関しては別記事で解説していますので、是非参考にしてみてください。